高齢者の自立を支援することが介護職の仕事ですが、その際に、利用者一人ひとりの尊重を守ること以外にも、老化によってあらわれる生理的特徴を理解しておくことが大切です。
生理的特徴を理解しておくと、適切な介護をするのに役立ち、ADLやQOLの維持や改善につなげることができるでしょう。
例えば、高齢者によくみられる身体的特徴として、廃用症候群があります。
これは、体を使わないことで筋肉がやせ細り、活発に活動できないことで、身体機能にさまざまな悪影響を与える状態のことをいいます。
このような状態になると、筋力を取り戻すにの長い時間がかかりますので、介護職はリハビリや身体介助が欠かせなくなります。
また、高齢者は、若いころより体内の水分が少なくなるので、腎機能が低下し、廃物を排出するためのろ過機能が落ちてしまいます。
しかも、体内の水分を蓄える筋肉の量も減少しているため、水分を体に保持しにくく、脱水症状を起こしやすい状態になっています。
さらに、水分が不足していても、のどの渇きを感じにくいということもあるので、介護職はこのことを意識して、水分摂取を促すことも必要です。
このようなことから、介護職は高齢者ならではの生理的機能を十分に理解し、一人ひとりの身体状況に合った介護が求められます。
したがって、高齢者の体が加齢に伴い変化していることをきちんと理解できているか否かは、質が高く、安全な介護サービスの提供に大きく影響してくるといえるでしょう。